当協会では、いくつかの地域で介護者のための「レスパイトカフェ」を
開催していますが、こういうところに足を運ぶのは介護に関して結構知
識のある人が多く、長年介護していたり既に介護の終わったりした人達
で、実は『初めてでよくわからない』という人は少ないものです。
そこで、行政と共に地域の高齢者サロンで出前の「レスパイトカフェ」を
開催したところ、介護なんて関係ないと言っていた人が話を聞いていくと
実は介護中だったり、自分自身がデイサービスに通っていたりして、興味
深いお話が次々と出てきます。
今回のご相談もそんな出前カフェの話し合いで出てきたお話しです。
介護者Aさん:母は一人暮らしですが、認知症が進み昼夜逆転が始まって、
時には夜に出かけたまま帰れなくなったこともあります。
心配で定期的に様子を見に行っていますが、昼間は介護サー
ビスを使えても夜の見守りができないので、グループホーム
に入所してもらおうと思っています。
お母さんの入居予定のグループホームはAさんの自宅の近くなので、今ま
で以上にお母さんの様子も見られると話されます。
お節介士:ご家族にはグループホーム入所のことご相談されました?
Aさん:うちのご家族も賛成してくれてしていますので入所を決めようと
思っています。私もその方が安心できるだろうし、母のために
も良いだろうって。
こう聞くと何も問題はなさそうですが、少し気になるのが『家族の賛成』
です。
お節介士:Aさんはグループホームにお母さんが入居された後は具体的には
どのようにしたいと思っておられるのですか?」
Aさん:グループホームは自宅から近いですし、母も環境が変わって心細い
と思いますので、できる限り会いに行こうと思っていて、週末は
外泊で自宅に連れて帰ろうと思っています。
Aさん:いいえ。でも主人も娘もグループホームの入所には賛成してくれてい
ますし、大丈夫だと思います。
こういうお話は意外と多いのですが、ここで大切なので『家族の同意』です。
自宅の近くのグループホームを選んだAさんはグループホームに入居しても、
お母さんの介護をしたいと思っています。
できるだけ会いに行って、週末は自宅に連れて帰ろうと思っていることを、
ご家族には具体的に話していません。
こういうケースだと、ご家族はグループホームに入れば安心できると思って
いるでしょう。これまでのように離れた実家に通っていたときのような世話
は逆に要らなくなると思っているのではないでしょうか?
家族で話し合う時、多くの人は『家族だから言わなくてもわかってくれる』と
思いがちです。
けれど、家族だからこそ具体的に伝えないと、後々大きな問題になるまで言え
ないことも多いのです。
Aさんにはそのことを伝え、グループホームの入居についてもう一度ご家族と
しっかり具体的にお話しして決めてくださいとお願いしました。
家族間の相談というのは、具体的にきちんと決め事がしにくいものです。
だからこそ介護者は『しっかりと具体的に』を心がけて話し合って欲しいと
思います。